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Shadowverse WLD中期の振り返り

 こんにちは。はるかです。

 今期は個人的にとても気に入っている環境なので備忘録としてこの記事を残そうと思います。
 それでは衝撃のレジェンドナーフから始まったWLD中期をBO3という視点から振り返っていきましょう。

・環境初期
 ナーフの施行前、猛威を振るった《昏き底より出でる者》を使ったニュートラルヴァンパイアが主力カードであった《昏き底より出でる者》、序盤を支える《トーヴ》、6T昏きと呼ばれるコンボを成立させていた《バフォメット》に調整が入ったことでニュートラルヴァンパイアのデッキパワーが著しく下がったことで台頭してきたのはTOG期に与えられた強力なレジェンド《魔将軍・ヘクター》を抱え、ナーフ前からニュートラルヴァンパイアと肩を並べていたネクロマンサーでした。

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 《不死の大王》というカードも搭載したリストが一般的になり、もはやフィニッシャーは《魔将軍・ヘクター》だけではなくなりました。

 多くのプレイヤーはこのデッキの相方は何が一番強いのかとネクロマンサーのミラーマッチにおいての解答を探し、必死に研究を進めたことでしょう。
 この頃、環境が定まっておらず、ほかのリーダーの研究が進んでいなかったこともあり環境頭のJCGでは前期のリストをナーフに合わせ調整した《ファントムキャット》型のヴァンパイアが結果を残していたのを覚えています。
 《緋色の剣士》、《豪拳の用心棒》といった中盤の強力なフォロワーを手に入れた復讐ヴァンパイア、TOG期にネクロマンサーと肩を並べ争っていたランプドラゴンが有力な選択肢として研究がすすめられました。
 また、《邪悪なる妖精・カラボス》を採用し、終盤の手札枯渇を克服したアグロヴァンパイアが話題に上がり始めたのもこの時期でした。
 また、大阪予選の直前にはシャドウバース初期から存在する冥府エルフというデッキも復活の兆しを見せ、話題になりました。

 


・RAGE大阪予選
 下馬評ではミッドレンジネクロマンサー×復讐ヴァンパイアがかなり有力な選択肢として挙がっており、東京予選を控えたプレイヤー達も環境を見定めようとに注目されている中行われた大阪予選の大会結果は、多くのプレイヤーの予想をある意味で裏切るものでした。
 

 TOG期の再来のようなデッキの組み合わせでRAGEvol.3ファイナリストのりんご選手が前人未到、2度目のファイナリストへの切符を手にしました。
 コストが3になり、ほとんど話題になっていなかったシャドウリーパーはその能力を表すかのように、RAGE大阪予選まで多くのプレイヤーの目から隠れ、対戦相手の首を刈り取りました。
 また、ファイナリストになった3人のうちtizin選手とファント選手の二人が同じ秘術ウィッチを使用しており、それぞれその相方に選んだのはネクロマンサーとアグロヴァンパイアと非常に興味深い結果となりました。
 ネクロマンサーのリストには《ブラックスワン・オディール》《ダークコンジュラー》といったミラーマッチの後攻を意識したカードも多く見られました。

 評価通りの仕事をしたネクロマンサーとは対照的に、多くのプレイヤーからの支持を得ていた復讐ヴァンパイアは信頼が揺らぐ結果となってしまいました。
 また、惜しくもファイナリストにはなれなかったものの、既存のニュートラルウィッチに加え、《次元の魔女・ドロシー》を切り札に使う懐かしさを感じさせるスペルドロシーや《魔導の力場》を使用した革新的なリスト、《言霊遣い・ジンジャー》を使用したまるでドラゴンのように大型フォロワーを叩き付けるニュートラルウィッチなどが配信卓で公開され、ウィッチという一つのリーダーを取ってもこれだけの種類のデッキがあり、環境がいかに混沌の中にあったかが伺えます。

 RAGE大阪予選大会結果

https://rage-esports.jp/news/ragevol5-osaka-report2


・大阪予選終了後
 大阪予選の結果を経て、東京予選の選手たちはその結果をもとに頭を悩ませることになります。
 ファイナリスト2人という快挙を遂げた秘術ウィッチを選択するプレイヤーが出てくるのは意識した上で、有力な選択肢として挙がるのはドラゴン・ネクロマンサーの構成だったように思えます。
 秘術ウィッチに対する若干の不利を考慮した上でもネクロマンサーのデッキパワーはやはり圧倒的で、ここを外すという選択はなかなかしづらかったのではないでしょうか。
 ドラゴンはやはりデッキパワーの高さゆえに、メタ外のデッキを踏みつぶすパワーがありつつネクロマンサーと互角、秘術ウィッチに有利ということでかなり評判がよかったデッキです。
 ドラゴンが流行するならば、と有利対面である復讐ヴァンパイアが増えることも十分考えられます。
 ドラゴン×ネクロマンサーの組み合わせやどちらかを秘術ウィッチや復讐ヴァンパイアに変えた構成が多いだろうというのが大方の予想でした。


・RAGE東京予選

 東京予選では、やはりプレイヤーが大阪の結果を意識していることから大阪予選ほどの闇鍋ではなく、比較的プレイヤーたちの予想通りの環境となりました。
 しかし、東京予選で急激に増加したデッキがいくつか存在します。

 RAGE東京予選を語るに欠かせないデッキはやはりコントロールヴァンパイアでしょう。
 ナーフを受け、ニュートラルヴァンパイアでは使用されなくなった《昏き底より出でる者》はフィニッシャー不足という課題を抱え続けていたコントロールヴァンパイアの救世主となりました。
 このコントロールヴァンパイアが東京予選で急激に頭角を現した理由としては、ドラゴンに対し有利がつく点、ネクロマンサーに対し五分が取れる点、ミッドレンジ帯のデッキに対して豊富な回復カードやAoEの存在から有利に立てる点でした。
 また、ドラゴンと違いきちんと対策していないプレイヤーも多く、ネクロマンサー側に難しい立ち回りを要求できることもあり、この時点ではドラゴンの上位互換であると言ってもいいほどの力だったかもしれません。
 しかし、ここに大きな壁が立ちはだかります。

 

 シャドウバースにおいて、初期からコントロール殺しの異名を持ち環境に君臨し続ける大きな壁、超越ウィッチの存在です。
 ファミ通カップファイナリストのmisobon選手も選択し、彼をRAGEvol.5で再びファイナリストに導いた超越ウィッチ×ミッドレンジネクロマンサーの組み合わせは有力な選択肢であったドラゴン×ネクロマンサーに対しかなり有利なマッチアップを仕掛けることが可能です。

 もちろん、コントロール殺しの異名の通り、コントロールヴァンパイア、ネフティスネクロ、イージスビショップといった様々なコントロールタイプのデッキに対しマッチアップ時点でほぼ1勝をもぎ取ります。
 また、東京予選でファイナリストになったオチ選手のイージスビショップもコントロールヴァンパイアに対して有利の付くデッキの一つです。
 ネフティスネクロの《デュエリスト・モルディカイ》やビショップからプレイされる《ヘヴンリーイージス》といったカードは基本的に除去することができず、プレイされる前に相手を仕留めるといったプランもまず取れないデッキなのでそういった脆さからコントロールヴァンパイアは惜しくも敗れてしまったのではないでしょうか。
 また、東京予選では5名のファイナリストのうち過半数である3名がドラゴン×ネクロマンサーの選択を取っており、ドラゴン×ネクロマンサーの組み合わせのパワーの高さを象徴しています。
 RAGE東京予選での配信卓で目立ったネクロマンサーのカードといえばやはりこのカードですね。

 
 大阪予選でEnju選手がドラゴン相手にフィニッシュを決めたこのカードは、コントロールタイプのデッキに対する回答となりえ、東京予選でも多くのプレイヤーが採用していたようです。

 RAGE東京予選結果

https://rage-esports.jp/event/ragevol5_tokyo_decklist

 

・RAGEを終えて
 RAGE東京予選では、ファイナリストはドラゴン×ネクロマンサーがやはり多かったものの、プレーオフを見るとすべてのリーダーが存在するというかなりバランスの良い環境でした。
 また、環境の傾向として、《不死の大王》や《覇食帝・カイザ》といったロングゲームを意識したカードが採用されるデッキも増え、超越ウィッチやコントロールヴァンパイアといったデッキの台頭を意識する必要が出てきました。
 RAGEを終え、一週間ほどたった頃、気軽に行えるBO3の場としてプレイヤーが使用していた非公式のレーティングアプリの環境に、ある変化が生まれました。

 潜伏ロイヤルやアグロヴァンパイアといったアグロデッキの急激な増加です。
 これは低速化しきった環境で生まれたコントロールヴァンパイアや超越ウィッチといったデッキに非常に高い勝率を叩き出します。
 特に、《マスタークノイチ》や《火遁の術》を手に入れた潜伏ロイヤルは圧倒的なパワーを発揮し、最初こそ先攻を取るために祈るデッキなどと言われていましたが、後攻でも十分な勝率を上げるTier1デッキとなりました。
 このデッキの流行が一過性の物ではなくデッキパワーという根拠あるものだと理解したプレイヤーたちはこういったデッキを意識する必要性に駆られることとなりました。
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 レーティングアプリで最終ランキングベスト16に入ったプレイヤーが公開したネクロマンサーのリストには《ネクロアサシン》や《死の祝福》といったカードが再び採用されています。
 《ネクロアサシン》は潜伏ロイヤルに対するわかりやすい回答ですし《死の祝福》は守護が少ないというネクロマンサーの弱点を補強し、アグロデッキに対する勝率の上昇に繋がります。
 これらのカードは環境初期に入っていたものの、東京予選では数を減らしていたカードたちです。
 今環境はネクロマンサーがちょうど一周するような形でメタゲームが回転しました。

 また、レーティングベスト16には複数人、一時期はWLD環境で最弱とすら言われていたエルフを使用していたプレイヤーも存在します。
 ネクロマンサーはWLD環境内でメタゲームを一周させたのに対し、エルフはWLD初期に作成されたニュートラルエルフから、冥府エルフ、OTKエルフへと過去のデッキを現代に合わせることで、存在感を発揮しました。
 環境に合わせ、最適なデッキを開発することこそカードゲームの醍醐味ですし、メタゲームが目まぐるしく移り変わっていったWLD中期環境は考えれば考えただけ結果に結びつくとても良い環境だったと思います。
 ちょうど本日はナーフ発表があり、明日にはナーフ施行を控えていますが、WLD後期ではどのようなメタゲームが展開されるでしょうか。
 9月にはRAGEファイナル、シャドバフェスも開催され、その場ではどのようなデッキが披露されるのでしょうか。
 もはや1週間前に強かったリストが賞味期限を迎えてしまうような今環境。
 常に他人の一歩先を目指さねばならず、プレイヤーの環境を読む力、それに合わせ最適なデッキを構築する力、きちんと新しいデッキをミスなく回す力といった多くの物が問われることになるでしょう。
 今のような時こそお互いの足りないところを補い、情報共有をしていく「チーム」の価値が高まっているのかもしれませんね。